【論文紹介】うつ病治療に不眠の認知行動療法が有効

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うつ病の方の多くが不眠に悩んでいます。不眠の認知行動療法が、不眠症を合併したうつ病の治療として有効であるかを、系統的レビューとメタアナリシスを用いて研究しました。論文がJournal of Affective Disordersに掲載されましたのでご紹介します。

実は筆頭著者として初めてのpairwise meta-analysisでの論文です。

結論:CBT-Iは抑うつにも不眠にも有効

不眠症を合併したうつ病の方に、CBT-Iを提供すると、対照群(通常治療群や待機群)と比べて、抑うつ症状が改善する人が多く、不眠が寛解する人も多かったです。ただし、脱落する人も多い傾向にありました。

研究内容

手法

以前の論文で構築したデータベースに加えて、漏れがないように新たに複数のデータベースを検索しました。対象者はうつ病かつ不眠症状がある成人としました。介入群は不眠の認知行動療法CBT-I、対照群は通常治療・待機・プラセボ治療(睡眠衛生やリラクゼーションなど治療効果が期待できないが治療っぽく見えるもの)などとしました。

主要評価項目はCBT-I終了時での抑うつ症状治療反応率(抑うつ症状が50%以上改善した人の割合)としました。副次評価項目として、不眠寛解率、脱落率を見ました。2値変数はオッズ比で解析し、frequentist random-effects pairwise meta-analysisで解析しました。解釈可能性を高めるために、control event rateとオッズ比を元にexperimental event rateを求めました。プロトコルはOpen Science Frameworkで事前登録しました。appendixにも載せてあります。

結果

系統的レビューのフロー

系統的レビューの結果、19の臨床試験(計4808人の参加者)を特定しました。平均年齢は33歳、73%が女性でした。PHQ-9の中央値は16と中等度以上の抑うつ症状、ISIの平均値は19と中等度の不眠症状が認められました。

うつ病治療反応率のフォレストプロット

CBT-Iは不眠を合併するうつ病の抑うつ症状の改善に有効でした(OR 2.28 [95%CI, 1.67-3.12: PrI, 1.03-5.05]; エビデンスの信頼性 中等度)。抑うつ症状の尺度から不眠に関する項目を除いた値で計算しても抑うつ症状の改善が認められ、睡眠に関する項目以外についても有効性が確認されました。不眠症状の改善にも有効でしたが、脱落が増える可能性も示唆されました。

まとめ:CBT-Iは不眠を伴ううつ病治療として有効

CBT-Iは不眠を伴ううつ病治療として有効であることが示されました。その有効性は、うつ病の認知行動療法や対人関係療法などのうつ病に対する有効性が示されている心理療法の有効性と比較しても見劣りしないものでした。

Furukawa Y, Nagaoka D, Sato S, Toyomoto R, Takashina HN, Kobayashi K, Sakata M, Nakajima S, Ito M, Yamamoto R, Hara S, Sakakibara E, Perlis M, Kasai K. Cognitive behavioral therapy for insomnia to treat major depressive disorder with comorbid insomnia: A systematic review and meta-analysis. Journal of Affective Disorders. 2024. https://doi.org/10.1016/j.jad.2024.09.017


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