睡眠制限や刺激統制をしても改善に乏しい時や、既に総臥床時間が5時間以下なのに眠れていない時は、不眠に関する役に立たない思い込みに苦しんでいないか検討します。
認知療法(認知再構成)
私達の研究グループは不眠の認知行動療法CBT-Iのどの要素が有効かを検証し、認知再構成が有効であることを明らかにしました。具体的には、不眠に関する役に立たない思い込みがないかを確認し、事実を伝えたり、実験をしたりします。
8時間は寝なければいけない
代表的な思い込みに「8時間は寝ないといけない」というものがあります(9時間とか、10時間という人もたまにいます)。8時間ぐっすり眠れるのは小学生までがよいところで、20歳も超えると7時間、40才も超えると6時間眠れたら十分です。もっと眠れたらラッキー、くらいに考えたほうが気が楽です。眠れなくて辛い時には、長く寝ないとだめだと思うと余計に緊張して眠れなくなります。
よく眠れないと翌日大変なことになる
よく眠れないと翌日に事故を起こしたり大変なことになると信じている人がいます。これまでその大変なことは何回ありましたか?例えば、不眠が10年、週3回不眠だったとしたとして、10年*3回/週*50週/年=1500回不眠の中で生活しています。眠れなかった日のうち、大変なことが起きたことがあるのは1%にも満たないのではないでしょうか。
よく眠れなかった次の日は予定をキャンセルした方が良い
よく眠れなかった次の日に、実際にキャンセルしなかったらどうなるか様子を見てみましょう。
名古屋市立大学医学部卒業後、南生協病院での初期研修を経て、東京大学医学部附属病院精神神経科、東京武蔵野病院で専攻研修。日本専門医機構認定精神科専門医、精神保健指定医。臨床と並行してメタアナリシス(用量反応メタアナリシス、要素ネットワークメタアナリシスなど)を中心とした臨床研究を主導。筆頭著者として、JAMA Psychiatry, British Journal of Psychiatry, Schizophrenia Bulletin, Psychiatry and Clinical Neuroscienceなどのトップジャーナルに論文を発表。不眠の認知行動療法 (CBT-I) などの心理療法や、精神科疾患の薬物療法について、臨床で抱いた疑問に取り組んでいる。
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