不眠症の認知行動療法を紹介した時に、起きていたくない人はどうしたらよいのかと質問されたことがあります。とても鋭い質問だと思います。まだ確たる答えは見つかっていません。私はこうしている、というものがある臨床家の方はぜひ教えていただけると幸いです。
起きていたくない人
睡眠薬をとにかく増やしてほしいという方の中には、睡眠時間が十二分にとれていてもまだ眠っていたいという方がいます。起きていると辛い(嫌なことばかり考えてしまう強迫症状が辛い、幻聴が辛い、フラッシュバックが辛い、など)という方です。寝逃げとしての睡眠、意識を飛ばすための睡眠。。。
起きてやりたいこと、やらなければならないことがある人と比べると対応が難しいのは確かです。
対応方法案
心理教育
まずは、年齢相応の平均的な睡眠時間を伝えます。抑うつ症状などはメリハリの付いた睡眠が取れるようになると改善することが多いことを伝えます。
薬物療法
抗うつ薬や抗精神病薬などを調整します。
行動活性化
取り組んでみるとちょっとでも楽しめそうなこと、やりがいが感じられそうなことを考えます。
無理はしない。辛さに寄り添う
あまり急いで無理に起こそうとしてもうまくいかないことが多いです。寄り添いながら試行錯誤していくほかないのかなという気がしています。
名古屋市立大学医学部卒業後、南生協病院での初期研修を経て、東京大学医学部附属病院精神神経科、東京武蔵野病院で専攻研修。日本専門医機構認定精神科専門医、精神保健指定医。臨床と並行してメタアナリシス(用量反応メタアナリシス、要素ネットワークメタアナリシスなど)を中心とした臨床研究を主導。筆頭著者として、JAMA Psychiatry, British Journal of Psychiatry, Schizophrenia Bulletin, Psychiatry and Clinical Neuroscienceなどのトップジャーナルに論文を発表。不眠の認知行動療法 (CBT-I) などの心理療法や、精神科疾患の薬物療法について、臨床で抱いた疑問に取り組んでいる。
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