研究効率を上げる工夫

不眠治療には睡眠効率という概念があります。総睡眠時間/総臥床時間のことで85%以上がよい睡眠の目安とされます。総睡眠時間を長くしようとするのではなく、睡眠効率を上げるのが不眠治療のコツです。同様に、研究に関しても、実質研究時間/総研究時間を上げる工夫が重要なのではないかと思うようになりました。総研究時間-実質研究時間=見かけの研究時間です。

研究効率とは

研究効率は、研究時間とされる時間のうちの実際に意味のある活動をしている時間の割合のことを指します(造語です)。

睡眠効率

不眠症の人は、総睡眠時間を長くしようとして総臥床時間を長くする結果、睡眠効率が悪くなり、熟眠感が失われます。研究をする人の中には、研究時間を長くしようとしていわゆる「研究のための時間」を確保しても、見かけの研究時間が増えるだけだと、研究効率が悪くなり、効力感が失われます。

「見かけの研究時間」を減らす工夫

些末な研究課題

イシューからはじめよということに尽きます。取り組むに値する課題が見つかるまでは手を付けないというのも時に大事です。

ただし、はじめのうちはとにかく形にするのが大事という時期もあるかと思います。その場合は、ある程度意義があって、かつ、短時間で結果が出せそうなものを選びましょう。

プロトコル登録時間

PROSPEROを使っていましたが、osf.ioの方が時間がかからず、しかも詳しいプロトコルを残せるのでそちらを使うことが増えました。コード公開もgithubでなく、osf.ioにまとめて良いかもしれないと思っています。まだやったことはないですが。

プロトコル自体を論文にするかは悩ましいところです。プロトコル論文は査読者が見つかりづらいですし、査読を待っている間に本論文ができてしまうこともありえます。私自身は、よほどの理由がない限りはプロトコル自体は論文化しないつもりです。

論文のフォーマット揃え

<オフィシャルにはおすすめしません>

ダブルスペースやら、FigureやTableをどこに挿入するかなどの細かい指示は無視して、査読者が読みやすいであろう形にしたらそのまま投稿しています。シングルスペース、FigureやTableは本文の中で読みやすい位置に挿入しています。FigureやTableによっては、原稿を横にして見やすくします。これで直近の数本は査読に回してくれて、アクセプトまでいきました。もちろんデスクリジェクトもたくさんされましたが、フォーマットだけで落とされることはないように感じています。

ただし、もちろん、アブストの単語数制限や、サマリーなどのジャーナルごとの要件には対応します。

リジェクト後に落ち込んで次の投稿にかかるまでの時間

何か有益な査読をしてもらえたらそれに対応する意義はあります。しかし、デスクリジェクトであれば、落ち込んで次のジャーナルに投稿するまでの時間は全くの無駄です。投稿したら、次に投稿する先を決めて、いつでも投稿できる準備をしておきます。(もちろん重複投稿にならないように待つ必要があります)

Open Access費

一読者としてはオープンアクセスはありがたいし、一研究者としても多くの人に論文を読んでほしいからオープンアクセスにしたい。しかし、費用がハンパない。ただでさえ研究費が不足しているというのに、こんなものに大金を使ってよいのか。大金を使うことの国民への説明責任を果たせるのか。Natureなんか£8890.00/$12290.00/€10290.00もかかる。200万円近い。これも一種のハゲタカジャーナルではなかろうか。

といろいろ思うところはあるものの、ゲームのルールの中で戦うしかないので、こちらにできることを色々考える。まずは、medRxivなどのpreprintサーバーに投稿する。preprintによって二重投稿規定などで弾かれることはまずない。もう一つは、所属学会や大学によってはオープンアクセス費を免除/減額する契約を結んでいるところがある。ある程度は把握しておくと得するかもしれないが、情報が見にくくて困りものではある。。。


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