RoB2 (A revised Cochrane risk of bias tool for randomized trials) は、システマティックレビューに含まれるランダム化比較試験のうち、メタアナリシスに活用される値に、どの程度のバイアスのリスクがあるのかを評価するツールです。ランダム化比較試験そのものの質を評価するものではありません。メタアナリシスの結果がどの程度確からしいかを評価するGRADEやCINeMAなどでも必要となる、SR&MAを実施する時に必須の評価項目です。
詳しい解説は本家ウェブサイトのガイダンスやその他解説をご参照ください。RoB2の結果をRで格好良くプロットすることもできますが、そこまで本質的ではないと思います。私の場合はエクセルの表で色分け程度にすることも多いです。
5つの各評価ドメインごとに、シグナリングクエスチョンという鍵となる質問に答えていき、フローチャートに従って、各項目3段階でリスクを評価します。
これだけ評価しやすいようにしてくれているにもかかわらず、経験者間でも評価の一致率は低いです。Minozzi S, etl 2020. シグナリングクエスチョンをたたき台として使いつつ、そのメタアナリシスでどのように解釈するかをより具体化した上で評価するのが良いのではないかと思います。私の研究ではJAMA Psychiatry 2024 以降はそのようにしており、具体化した判断に関してはappendixで説明するようにしています。
Minozzi S, Cinquini M, Gianola S, Gonzalez-Lorenzo M, Banzi R. The revised Cochrane risk of bias tool for randomized trials (RoB 2) showed low interrater reliability and challenges in its application. J Clin Epidemiol. 2020;126:37-44. doi:10.1016/j.jclinepi.2020.06.015 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32562833/
名古屋市立大学医学部卒業後、南生協病院での初期研修を経て、東京大学医学部附属病院精神神経科、東京武蔵野病院で専攻研修。日本専門医機構認定精神科専門医、精神保健指定医。臨床と並行してメタアナリシス(用量反応メタアナリシス、要素ネットワークメタアナリシスなど)を中心とした臨床研究を主導。筆頭著者として、JAMA Psychiatry, British Journal of Psychiatry, Schizophrenia Bulletin, Psychiatry and Clinical Neuroscienceなどのトップジャーナルに論文を発表。不眠の認知行動療法 (CBT-I) などの心理療法や、精神科疾患の薬物療法について、臨床で抱いた疑問に取り組んでいる。
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