布団に入っても眠れなくて辛い(入眠困難)、というときにおすすめなのが、不眠の認知行動療法 CBT-I の中でも特に、「刺激統制 stimulus control」という手法です。
刺激統制
特に何も気にせずに寝られるときは「寝床=寝るところ」になっていても、なかなか寝付けないときは、「寝床=必ずしも寝なくて良い場所」になってしまっています。スマホをいじる場所、不安でのたうち回る場所、などです。刺激統制では、「寝床=寝るところ」と改めて体に覚え込ませ直すことで寝られるようにします。
朝起きる時間を一定に
まずベースとなるのは、起床時間を一定にすることです。寝付けた時間に合わせて起床時間をずらしてしまうと、どんどんとサイクルが後退していってしまいます。「先生の言う通りに寝られないときは布団から出るようにしたけど全然寝れません」と言われるときは、多くの場合、起床時間がずれ込んでしまっています。(ちゃんと起床時間を一定にするように伝えられていなかったと猛省します。。。)
日中は起きて過ごす
特に夜寝られなかった翌日が勝負ところです。眠いし、睡眠時間を取り戻したくなって、昼間寝てしまう方もいますが、やめましょう。リズムが崩れてしまいます。次の晩のために眠気を取っておきましょう。ソファで過ごしてもいいですが、横にはならないようにしましょう。日中眠くて辛いほど、夜眠れるようになります。
夜は眠くなってから横になる
睡眠時間を確保しなければならないと思い、眠くなる前から横になる方がいます。やめましょう。眠くもないのに横になっても眠れません。「寝床=眠れなくて時間を過ごす場所」になってしまいます。しっかり眠くなってから横になるようにしましょう。
15分眠れなかったら一度布団から出て、眠くなってから布団に戻る
夜中は時計を見ないほうが良いと言われており、15分はあくまでも目安です。眠れないのが気になるようになったら一度布団から出ましょう。あまり刺激にならないこと(本を読む、テレビを見る、ラジオを聞く、など)をして時間を過ごし、眠くなったら布団に戻りましょう。
考え事をして眠れない時も、一度布団から出ましょう。ずっと布団にいると、布団が眠るための場所から、不安なことをずっと考え込んで眠れない場所になってしまいます。
寝室以外の部屋がある場合は寝室以外で時間を過ごしましょう。ワンルームなどの場合は、布団から出ましょう。布団以外のスペースがあまりないという場合などは、掛け布団を取って、布団の上に座って時間を過ごすようにしましょう。
寝床では寝る。寝る以外のことはしない
「寝床=寝るところ」にするためには、寝る以外のことをを寝床でしない、というのが大切です。
名古屋市立大学医学部卒業後、南生協病院での初期研修を経て、東京大学医学部附属病院精神神経科、東京武蔵野病院で専攻研修。日本専門医機構認定精神科専門医、精神保健指定医。臨床と並行してメタアナリシス(用量反応メタアナリシス、要素ネットワークメタアナリシスなど)を中心とした臨床研究を主導。筆頭著者として、JAMA Psychiatry, British Journal of Psychiatry, Schizophrenia Bulletin, Psychiatry and Clinical Neuroscienceなどのトップジャーナルに論文を発表。不眠の認知行動療法 (CBT-I) などの心理療法や、精神科疾患の薬物療法について、臨床で抱いた疑問に取り組んでいる。
免責事項:当ウェブサイトは所属団体の意見を代表するものではありません。管理人は、細心の注意を払って当ウェブサイトに情報を作成していますが、情報の正確性および完全性を保証するものではありません。当ウェブサイトの情報もしくはリンク先の情報を利用したことで直接・間接的に生じた損失に関し、管理人は一切責任を負いません。